遠藤 貴広

子どもが主体の学習評価

  • 遠藤 貴広
  • ENDO Takahiro
  • 連合教職開発研究科 准教授(教育方法学)

Profile

1977年、福井県生まれ。2007年、京都大学大学院教育学研究科 博士後期課程(教育科学専攻 教育方法学講座)研究指導認定退学。2008年、福井大学教育地域科学部附属教育実践総合センター講師。2011年、同准教授。2016年から現職。2011年から2021年、中央教育審議会専門委員(初等中等教育分科会)。
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学習評価への注目

学部時代、教育実習で授業研究の面白さに触れ、もう少し研究したいと大学院に進学しました。当時(2000年頃)は「総合的な学習の時間」が始まった頃で、パフォーマンス評価やポートフォリオ評価といった新たな評価法が注目され始めていました。最初は、ポートフォリオが自己評価に果たす役割について、最新の学習論を手がかりに研究を進めましたが、次第に、新たな評価法がどのような実践の中から生まれ、その実践はどのような思想や改革を実現しようとする中で展開されたのか???と、実践の歴史や思想?哲学に目が向くようになりました。こうして、学習評価を切り口にカリキュラムや教育方法の研究を行うことがライフワークとなりました。

 

平和で民主的な社会の実現のために

学習評価は学習活動の改善のために行われるので、学習の主体である子どもが評価の主体にもなることが望ましく、子どもの自己評価をどう支えるかが教師の役割の要になります。このとき、教師から押し付けられた基準で自己評価させられているだけという状態になっていないかも気になるところ。それは、評価基準を設定する主体は誰かという点にかかわってきますが、最近では、授業で互いの発表やレポートを検討しながら、子どもが評価の基準を見直していくという実践も見られるようになっています。
福井大学教職大学院は学校現場で現職教員の院生と大学教員が協働して学校が抱える課題に取り組む学校拠点方式をとっているため、私も頻繁に学校を訪問しています。その中で、興味深い実践を展開し続けている学校には必ず理に適った評価の理論が備わっていることが分かってきました。また、評価基準を見直す営みは、価値判断の基準を吟味するプロセスでもあり、民主主義の基盤形成に繋がります。これがないと平和の実現も望めません。省察や対話?協働に重点を置いた福井県の教員研修や本学の教員養成の取り組みを、平和で民主的な社会の実現に向けた営みとしても大切にしていきたいです。

It's My Favorite!

平日に代休が取れたら、ミニシアターで映画鑑賞、南アジア系のカレー屋でランチ、書店で専門外の本の立ち読み。写真はスリランカ?カレー。